自動給水器Ver7
■新しく生まれ変わったピクタの自動給水器

給水器を開発して早いもので、10年の歳月が流れました。
コオロギに水分を補給する手段として、給水器はすっかり定着してきたのではないでしょうか?
累計出荷数も数千個を超えています。本当に沢山の方々に利用して頂き感謝しています。m(_)m

今回のバージョンアップで給水器の供給可能な水量が格段にアップしました!
その結果、様々な使い方ができるようになりました。

     
 給水器に群がるコオロギ  水を舐めにきたターコイズゲッコーのベビー ペロペロと舌で水を補給する ヒョウモントカゲモドキ

 給水器の水を舐めるヒョウモントカゲモドキ動画
※個体によっては、給水器に慣れるまでに時間を要する場合があります。初めのうちは、必ず既存の水入れも併用しながら御使用下さい。
  慣れてしまえば、給水器のみでの飼育も可能です。

■バージョンアップの経緯と変更点
   
 左がVer7 右が旧型Ver6  梱包形態

Ver6を発売したのは3年半前。Ver6はそれなりに完成度の高い商品だった為、今回のモデルチェンジまでには時間がかかってしまいました。実際、使って頂いている方からの評判も良く、飼育者はもとより、動物園、養殖業者様、様々な研究機関への納品もさせて頂きました。ただし、使っているとやはりもっと良くしたいと考えるのは当然。供給できる水の量をもっと増やして、爬虫類等にも使えるものはできないか?と考えるようになりました。水を沢山供給すれば水漏れ事故に繋がってしまうという危険との向かい合わせで、試行錯誤を繰り返しました。その結果、満足のいく商品が誕生することとなったのです。

変更した点は次の通りです。
 変更点 シンプル故に非常に繊細な商品です!
  内容 備考 
 紐の色  中間色のグレーから単色ブルーへ 生き物にとって認識し易い単色へ。昆虫はこの色が好きなようです。爬虫類には諸説あり。
 紐の太さ  約1.5倍 紐を管に見立てた場合、管の太さは水量に多大な影響を与えます。管径が2倍になると4倍の水が流れます。管径が4倍になると16倍の水が流れます。つまり指数関数的に増大するのです。 
紐の長さ  約1.3倍 1個当たりの給水器を利用できる個体数が増えました。 
穴径 2.1mm太く  Ver6より緩めにして、水が出易いようにしています。 
穴位置  中央から左右へ  水漏れ対策で、穴に対して垂直に紐が来るようにしています。 
 クリップサイズ  約1.5倍のサイズ 水が出やすい為、クリップで調整することが必須。大きいクリップで紐の位置も自由自在
 梱包 裸からヘッダ付吊り下げ袋へ  これで、ようやくお店様にも扱って頂けるかと思います。
生産方法 社長の内職から専門の職人へ   工具と治具を駆使し、ようやく人に任せることができるようになりました(^_^;)

■野菜を水分補給として使う時の諸注意! -無農薬・有機栽培の落とし穴- 
野菜で水分を補給する方法もありますが、最近この水分補給方法にも大きな問題が生じています。
残留農薬の問題は勿論ですが、見過ごされているのは、有機栽培の野菜です。

有機栽培の普及については、非常に好ましいことですし、大いに歓迎すべきことだと思っています。
しかしながら、有機栽培なら安心?といはいかない問題が飼育者に直面しています。
それは、有機栽培でも害虫対策用に認められているいくつかの資材があるからです。

その代表が木酢液です。よく聞く言葉だと思いますし、愛用している方も多いと思います。ただ、この木酢は効き目がかなり緩いことも事実ですし、今回問題にしている資材ではありません。

問題となっているのは、ここ数年良く効くことで脚光を浴び、使用が急拡大している「ニーム資材」という物です。

ニームはインドセンダンの別名で、実から抽出したニームオイルを薄めて野菜にかけることが、天然の抽出物であるが故、有機栽培で認められています。
勿論、緩い規制の無農薬栽培にも当然認可されています。このニームオイルに含まれるアザディラクチンという成分が昆虫の脱皮阻害剤として働き、脱皮不全をおこさせて死に至らせるのです。

脱皮阻害剤はアクアリストの方でしたら、デミリンやリフィッシュなどでご存知の方もいらっしゃるのではないかと思います。

もしも、このニームのかかった野菜(無農薬の場合が多い)を、購入したコオロギ(成虫を除く)にあげると、おぞましい結果が生じてしまいます。脱皮適齢になった個体が次々と死んでいくのです。

それ以外にも、ニームのかかった野菜を食べたコオロギを、自分の飼育しているカマキリやタランチュラにあげてしまった場合にも、脱皮不全がおきてしまう可能性があります。

野菜で餌コオロギに水分補給をする場合は、無農薬であっても、ニームを使っていないかを確認できるものを使用するようにして下さい。
勿論、ヤスデを飼っている人はもっと気をつけた方がよいと思います。

でも、そんなこと言われても、確かめようがないのが現状だと思います。(^_^;)
確かめることのできるごく一部のラッキーな方は野菜を使っても良いと思いますが、特に虫の発生の多い夏場は、水分補給に野菜を使わない選択をするのが賢明です。勿論、給水器を使えば、そんな心配は皆無です。(^_^)

実はこの問題、最近流行っているレッドービーシュリンプの間でも広がっています。
無農薬ホウレンソウをあげていたのに、なぜか高価なレッドビーが死んでしまったという経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
エビのブリーダーさんは、自家栽培したホウレンソウしか使わないのは、上記の理由があるからです。


■湿度保持器としての実験

実験材料:スズキのコバエ侵入防止ケースSサイズ(通気性が比較的少ない)。給水器Ver7ミニ、レプロの湿度計

※画質が悪い点、簡易な湿度計を用いていることは予めご了承下さい。雰囲気は分かると思います。
   
 温度変化の激しい窓辺に置いて湿度の推移を測定  同じ条件下、通気性の少ない蓋をして、右のプラケースのみ給水器をセット

   ⇒  
 実験スタート 湿度共に約55%    蓋をして10分後 給水器なし湿度60% 給水器あり68%
   ⇒  
 20分後 給水器なし湿度60% 給水器あり72%    30分後 給水器なし湿度60% 給水器あり湿度82%

たった30分で湿度が55%から82%に達しました。
湿度を上げたい場合にも、給水器の設置が有効に使えることが分かります。電源も不要で非常に簡単に設置できます。
カマキリやナナフシの脱皮不全防止、孵卵機内の湿度維持。乾燥が苦手なホシガメにも有効です。
ベアタンクでのカエルの飼育にも便利です。お客様のお話ですが、カエルを干からびさせてしまうことが無くなったという報告も頂いています。

※弊社では、この給水器を自家繁殖したターコイズゲッコーのベビーに使ってみましが、霧吹きが一切必要なくなり、大変重宝しています。
この様子は後日、ブログでも紹介したいと思います。


1日経過後。 給水器なし湿度33% 給水器あり湿度64%

■自作される方へ
飼育をする上で自作をすることは大変楽しいことであり、この趣味の醍醐味でもある思います。
自作することで、経費を削減したり、より良い物ができることもあることは事実です。ただ、この給水器に関しては、あまり自作をお勧めしません。というのも、まずこの特殊な紐の入手が困難なことです。日本では普通に手に入りません。もし入ったとしても非常に高価なものとなるだけでなく、この紐を切断する為に1万円近いハサミを買わなくてはいけなく事態になってしまいます。弊社が給水器に採用しているこの紐以外の紐では、ほぼ間違いなくコオロギに噛み切られてしまいます。また、登山用のロープ等も確かに丈夫ですが、撥水処理加工がしてある為、満足の行く結果が得られません。
また一番重要な穴径と紐の太さのバランスをとることも、非常に困難です。水漏れするか水の出が悪いかのどちらかになってしまうことでしょう。加工性の悪いこの紐を穴に通すのも、一筋縄には行きません。特殊な工具と治具が必要です。あれこれやっていると1個作るのに1時間くらいはすぐに経ってしまうことでしょう。まあ、そこまでしても自作に拘る人はいると思いますが、費用対効果は非常に薄いです。数百円で手に入るのですから、結局買った方が安いと思います。
※自作を完全否定するものではありませんので、誤解のないようお願いします。

■業販について
弊社の給水器は、現在非常に限られたお店でしか販売されていません。それは、特にこちらからセールスをしていなかったからでもあり、大量生産できる物でもないかったからです。この度、生産体制を見直したことで、通常の業販ができるようになりました。弊社の自動給水器をお求めになりたいショップ様は、遠慮なくお問い合わせ下さい。また、養殖業者様など大量に扱われる場合にも、ご相談にのらせて頂ます。

生き物用自動給水器をお求めになりたい方はこちらからどうぞ!