投げ込み型ウールマットフィルターの紹介 その1



弊社では、全ての水槽を上の写真のようなウールマット(特注品)を巻いたフィルターで管理しています。
来社された方の多くは、「これで大丈夫なの?」とおっしゃいます。

この方式を採用する前は、スポンジフィルターを使っていました。
ウールに換えて6年。問題どころか良さを実感している毎日です。

■なぜスポンジを辞めたか?------劣化が避けられない濾材の宿命-----

スポンジでもいいのでは?という声が聞こえてきそうですね。

確かに、スポンジも優れたフィルターだと思います。ただ、このスポンジにはいくつかの欠点があり、弊社のように沢山の魚を扱う問屋にとっては、厄介な面があります。

まず、スポンジの最大の欠点は劣化が分かり難いという点です。

どんな濾材(大磯を除く)も必ず劣化します。

劣化の仕方は、濾材によって違います。

たとえば、ガラスやセラミック系の多孔質濾材。
これは、濾材の表面にカルシウムや鉄分等の金属がコーティングされ、濾材の穴を塞ぐだけでなく、バクテリアが固着できない状況を作ってしまうことからです。それ故、普通は危険でやりませんが、駄目になった濾材は、塩酸や硫酸などの酸につけると表面についたコーティングが溶けるので、再生することが可能です。

ではスポンジは?
上記のように表面に金属コーティングがされます。さらに、スポンジを構成している繊維そのものが加水分解してもろくなっていきます。
キッチンで洗い物にスポンジを使うことが多いと思いますが、使っているとボロボロになっていくことは誰もが経験したことがあるのではないでしょうか?

もろくなったスポンジは、バクテリアが急激に減少します。触るとスカスカになった感じなります。でも、スカスカなってからでは手遅れなのです。そうなる前に交換が必要です。

※長年スポンジを使っている方は劣化の見極めをある程度は知っていると思います。ただ、この見極めは見ただけでは分からない点が問題です。触った時に「くちゅっ」となるのは最高の状態です。バクテリアの生物膜がしっかりと表面についているからです。スカスカはバクテリアがいなくなっています。スポンジは時間とともに加水分解をおこしだんだんと構造がもろくなっていく宿命を背負っているのです。

スポンジは酸やアルカリにも弱く、加水分解を加速度的に進めてしまうのも困りものです。特に、病気が出た場合濾材ごとリセットしますが、スポンジをハイターづけにでもしたなら、劣化が急激に進んでしまい、とても使えるものではなくなってしまいます。
        
  • ■濾材にまつわるコラム その1 -----半永久に使える底面大磯------

    これは、昔から定番のスタイルで使われている方式です。
    今でも、採用しているお店、問屋さんが結構あります。
    なぜ、大磯が半永久に使えるのでしょう?

    大磯は、海の砂利で非常に固く、多孔質ではありません。ガラスやセラミック系の濾材でお話したように、表面に金属がコーティングされる現象は同じようにおきます。但し、底面濾過方式では、頻繁に底床をかき混ぜて汚泥をとり除く必要がでます。そのかき混ぜる際に、石と石がこすれあって皮膜が剥がれ落ちるのです。多孔質でない故、金属皮膜は砂利の表面にしかつかないこともポイントです。昔から「米を研ぐように洗え」と言われてきたのは、その皮膜を出来る限り取り除くことで、砂利が再生するからです。

ではウールマットはどうでしょうか?

つづき