投げ込み型ウールマットフィルターの紹介 その2


■ウールマットの特性

ウールマットの劣化は濾材表面の金属コーティング現象以前に、短期間に型崩れして目詰まりするという致命的な欠点があります。その為、初期性能は誰もが認めるのですが、使い捨て感覚で使用されているのが現状です。

「型崩れ」という欠点さへなければ、非常に優れた点も多くあります。

まず、素材そのものがスポンジのように加水分解しにくい。

濾過面積が非常に広い。

安価な為、経済性が良い。

以上の3点です。

では、型崩れし易い欠点をカバーするにはどうすればよいのでしょうか?
ある工夫でその欠点を改善した人気のフィルターを紹介します。

■ロングヒットを続けている水作エイト



ウールマットの優れた特性を取り入れたフィルターとして、25年前(2007年現在)に登場した水作エイトという投げ込みフィルターがあります。ウールマットの型崩れし易いという弱点を、プラスチックのカバーをつけるという手段と、支持体にウールマットを折り曲げて取り付けるという工夫をして見事に解決したものです。

濾過性能も良く、愛用者が多い大ヒット商品ですが、飼育経験の長い方には、あまり好まれません。その理由は掃除が大変という点です。

経験を積んだ方は、投げ込み式ならスポンジ方式へ移行していくというパターンが多いです。

なぜなら、濾材がむき出し型のスポンジフィルターであれば、掃除の際、濾材をすぐに取り出すことが可能です。場合によっては、水槽にセットしたまま吸い出すこともできます。

プラスチックカバーのついた水作エイトの様なタイプでは、本体を水槽から取り出してカバーを取り外さなければ、掃除が出来ません。さらに、洗う為に取り出したウールマットは丁寧に折りたたんで再セットする必要もあります。

やってみると、非常に手間がかかることです。

■ウールマットをスポンジの替わりに巻いてみては?
投げ込み式フィルターでは、現在市販されているスポンジフィルターのように「濾材むき出し型」がメンテナンス性に大変優れています。そこで、スポンジフィルターのスポンジの替わりにウールマットを巻いてみてはどうかいうことで、下図のような手順でやってみました。

@用意するのは、スドーのブリーディングフィルター Aスポンジを取り外します。
Bウールマットを用意します。 C端からくるくると巻いていきます。
D巻き終わったところ。
でもこれでは広がってしまいます。
Eインシュロックの1種リピートタイ
何度でも取り外しができる便利なグッズです。
Fリピートタイの端は、このようになっています。
フックを押すことで、好きな位置で固定できます。
G長さが足りない場合は、この様に繋げて使用すれば
OKです。何本でも継ぎ足せます。
H先ほどのウールを巻いたフィルターをリピートタイで
縛ります。
I余分な部分をカットして完成!

  • ■濾材にまつわるコラム その2
    -----多くの熱帯魚卸業者で使われている水作ジャンボ------

    貴重かつ莫大な数の魚を取り扱う熱帯魚卸業者(問屋)の多くが使っているのは、スポンジフィルターではなく、ウールマットを使ったタイプのフィルターです。

    大型のスポンジフィルターが無いという指摘もあるかもしれませんが…。
    一時は最大手の問屋さんのメインフィルターとしても使われていました。

    構造は、下図のようになっています。
    @概観 A吐出部が外れます。
    Bカバーを取り外した所 Cこの様に、ウールマットが畳まれて
    います。

    以前、弊社でもこのフィルターを使用した時期がありましたが、今は一切使っていません。それは、水作エイトと同様掃除が面倒だからです。1個洗ってセットするのに、どれくらいの時間がかかるでしょうか?100個洗うと何時間?考えただけでも嫌です。

    さらにこのフィルターは、水槽とアングルの隙間から取り出す時に一苦労するのも難点です。でか過ぎるし、伸び縮みしないのです!

    掃除が大変であるにも関わらず使われ続けているのは、ウールマットの優れた特性にあると思います。
    問屋では、飼育経験のあまりないバイトの方も多数いらっしゃいます。そんな方にスポンジを使わせても劣化の判断ができかねます。ウールでしたら型崩れを劣化の一つの目安にしていれば安心です。劣化の分かり難いスポンジは時限爆弾のような危険もはらんでいるのです。

さて、この投げ込み型ウールマットフィルターの性能はいかに

つづき